小児矯正

小児矯正について

小児矯正は、第一期治療と第二期治療の2段階に分けて行うことが基本です。
第一期治療は、前歯が生え替わる7~8歳以降に行う顎の発育を利用した治療です。顎の形や歯並びに応じて、様々な装置を使い分けることで、最終的に永久歯がきれいに並ぶ状態へと導きます。
第二期治療は、永久歯が生えそろってから行う矯正治療です。大人の矯正治療と同じく、ブラケット矯正やマウスピース矯正で歯並びを整えます。
第一期治療で顎を広げて永久歯がきれいに並ぶように促すことで、抜歯が必要な矯正治療が不要になったり、矯正治療そのものが不要になったりします。
いかに第一期治療を適切に行えたかで、第二期治療の負担が決まります。早期に治療を開始できれば、第二期治療で抜歯が不要になる可能性が高まるため、お子さまの歯並びが気になられた段階で早めにご相談ください。

不正咬合の原因

子どもの不正咬合は複数の原因が考えられます。

  • あごの大きさ(あごが大きい、あごが小さい)
  • 歯の生える角度(内側に傾いている、外側に傾いている)
  • 乳歯の虫歯(乳歯が虫歯になり早期に脱落したり、永久歯が生える時期になってもうまく脱落しない)
  • 指しゃぶりや舌癖、口呼吸などの習慣的なこと

不正咬合の種類

反対咬合
(受け口・下顎前突)

下の歯が上の歯より前に出ていて咬み合わせが逆になっている状態です。
受け口や下顎前突とも言われています。咬みにくいだけでなく、サ行・タ行が発音しにくくなることもあります。
原因は、歯の傾き(内側に傾いている、外側に傾いている)や骨格的な問題(上あごが小さい、下あごが大きい)であると考えられます。
乳歯から永久歯に生え変わるとき以外、反対咬合が自然に改善されることはほとんどなく、時間の経過とともに重症化したり下の前歯がぐらぐらになったりします。
反対咬合は、できるだけⅠ期治療で改善しておきたい咬み合わせです。

上顎前突
(出っ歯・口ゴボ)

上の前歯または上あご全体が突出していて、意識しないと口唇を閉じることができない状態です。
口唇を閉じると口元が緊張した状態になります。
歯だけが前に出ている場合とあごの骨に原因がある場合、もしくは指しゃぶり等の習癖が原因の場合が考えられます。

上顎前突は見た目の問題だけでなく、放置しておくと前歯をぶつけて歯が破折する危険性があります。
また、口唇を閉じやすくし鼻呼吸をしやすくしてあげることも大切な治療です。

開咬
(前歯が噛み合わない)

奥歯を咬み合わせても、上下の前歯にすき間ができて咬み合っていない状態です。
前歯で物を咬み切れず発音も不明瞭になってしまいます。
指しゃぶりなどの習癖から引き起こされている場合や、骨格的な問題が原因となる場合もあります。

子供の頃の治療としては、指しゃぶりや歯の間に舌を挟んだり突き出したりするなどの癖があれば、まずそれらを取り除くことから始めます。 舌の正しい使い方のトレーニングを併せて行うこともあります。
発音や舌の癖など、問題が習癖に起因する場合はⅠ期治療で改善しておく方が良いでしょう。

叢生
(乱ぐい歯、八重歯)

歯ぐきの大きさと歯の大きさのバランスが悪く、デコボコになっている状態です。歯ぐきの大きさに対して歯の生える場所が足りなくなってしまうことが原因となります。
歯と歯が重なり合って歯磨きが難しいため、虫歯や歯肉炎になるリスクが高まっています。
矯正治療によって歯磨きがしやすい歯並びへと改善されることをお勧めします。

偏位咬合

奥歯の咬み合わせが横にずれている状態で、多くは上下の前歯の中心もずれています。
反対咬合同様、自然によくなることはほとんどありません。
時間の経過とともに顔の歪みにつながることがありますので、Ⅰ期治療でぜひ改善しておきたい咬み合わせです。

Ⅰ期治療の必要性

Ⅰ期治療はⅡ期治療に比べ、治療期間が短く装置もシンプルですが、早期に治療を開始することでメリットがある場合にのみ行います。
Ⅱ期治療が不必要になる場合、あるいはⅡ期治療が容易になり最終的な歯ならびに良い影響を与えると予測される場合に行う治療です。
お子さんの歯やあごは成長段階にありますので、Ⅰ期治療が永久歯列に与える影響を考慮し、慎重に治療を進める必要があります。
すべての歯ならびや咬み合わせがⅠ期治療の適応というわけではなく、永久歯が生え揃ってからⅡ期治療をした方が良い場合もあり、そのようなケースでは経過観察を行い、Ⅱ期治療開始の最適な時期を待ちます。

Ⅰ期治療とⅡ期治療の違い

子供の矯正治療には、乳歯列期・混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行う「I期治療」と、永久歯が生え揃ってから行う「Ⅱ期治療」があります。
I期治療では今後の成長を予測しながら治療を進めていきます。あごの成長を促す装置を使用したり、ブラケットと呼ばれる固定式の装置を用いて、あごの大きさやバランス、正しい咬み合わせの基礎を築いていきます。

治療開始時期

「子供の矯正治療はいつから始めたらいいの?」というご質問をよくいただきます。
実は私達プロにとってもお口の中を見ただけでは、すぐにお答えするのは難しいことが多いのです。
というのも治療を始めるのに最適な時期はお子さんの歯ならびや咬み合わせの状態だけでなく、あごの成長や生え変わりの状態によって異なり、時にはお子さんの性格も考慮しなければならないからです。
子供の矯正治療の特徴は、適切な時期に適切な治療を開始することで、あごの成長をコントロールしながら治療を進めていくことが可能ということです。
お子さんの歯ならびが気になられましたら、まずはご相談ください。
精密検査を行うことで治療の必要性や、いつ、どのような治療をすればよいかをお伝えできます。

治療開始時期の目安

「I期治療」
  • 小学校低学年(早く始めた方が良い場合)
  • 小学校高学年〜中学生(成長を利用して行う方が良い場合)
「Ⅱ期治療」
  • 小学校高学年〜中学生以降

小児矯正治療の種類

マルチブラケット装置

マルチブラケット装置は、歯の表面にブラケットという器具を接着剤で取り付けて、その溝にワイヤーを通すことで歯を動かす矯正治療です。
ワイヤーの弾力を利用して歯を動かす仕組みであり、細いワイヤーから少しずつ太いワイヤーへと交換することで歯を理想的な位置へ動かすことができます。
ワイヤーは金属製のため、口を開けたときに目立ちます。セラミックやプラスチックのワイヤーを選べば、口を開けたときに目立ちません。
それでは、ブラケット矯正の仕組みを確認していきましょう。歯と顎の骨の間にある歯根膜の中には、骨を吸収する破骨細胞と骨を作る骨芽細胞のいずれにも変化できる細胞が存在します。ワイヤーで歯に力をかけると、歯が動こうとしている側の細胞が破骨細胞となり、歯を支えている骨を吸収します。

一方、その反対側の歯の細胞は骨芽細胞となり、新たな骨が生成されるのです。この2つの細胞が繰り返し働くことで、歯を動かします。

インビザライン・ファースト

インビザライン・ファーストは、乳歯と永久歯が混在している段階で使用するマウスピース型矯正装置です。従来のインビザラインは第二期治療で使用するものでしたが、技術の進歩によって第一期治療でも使用できるようになりました。

インビザライン・ファーストなら
  • 透明で目立ちにくい

透明の薄いマウスピース型矯正装置のため、口を開けたときに目立ちません。友達に見られるのを心配することなく矯正治療を受けることができます。

  • 虫歯のリスクが低い

歯磨きや食事のときは取り外せるため、歯垢が蓄積することでむし歯のリスクが高まる心配がありません。これまで通りに歯磨きができるので、清潔な口腔内を保つことができます。

  • 顔に衝撃を受けてもケガをしにくい

薄くて柔らかい素材のマウスピースを使用するため、ボールが当たったり人とぶつかったりしても、マウスピースによってケガをする心配がありません。

  • 通院回数が少ない

マウスピースを自宅で約2週間ごとに交換しながら歯を動かす仕組みのため、通院の頻度が1.5~3ヶ月程度と比較的少なくて済みます。

お口の癖は
『口腔筋機能療法(MFT)』
で改善

口腔筋機能療法(Oral Myofunctional Therapy)は、咀嚼や嚥下、呼吸、舌・唇の位置などを改善するためのトレーニングを行い、口腔周囲の筋肉のバランスを整える療法です。口周りの筋肉のバランスを崩す指しゃぶりなどの癖がある場合、トレーニングの効果が現れるまでに数年はかかります。

当院では、矯正治療が円滑に進むようにする他、矯正治療後の後戻りを起こりにくくすることを目的に行っております。

Q&A

どのような装置を使って治療しますか?

矯正治療の装置には、取り外しのできるのも、固定式のものがあります。
治療スタート時には、ご本人の希望を出来るだけ取り入れながら装置を用意しています。
Ⅱ期治療に入り全体的な歯並びの治療になりますと、主に固定式の装置を使用します。

矯正歯科治療中、虫歯にならないか心配です。

矯正装置をつけると歯みがきが難しくなりますので、虫歯にしない、歯周病にしないことがとても大切になります。
矯正歯科治療を始める前に充分な歯みがき指導や歯のクリーニングを行います。
矯正歯科治療が始まると、毎日のご自宅での歯みがきが最も重要になりますが、来院時には歯科衛生士によるクリーニングを行います。

歯ならびを治すために永久歯を抜くことがあると聞きましたが、大丈夫ですか?

もちろん全部の永久歯があって、歯ならびも良いのが一番です。
しかし歯ぐきと歯の大きさ、咬むという歯の働き、口もとのバランスなどを考えた時、歯を抜いて矯正歯科治療をした方が良い場合があります。
何本かの永久歯を犠牲にしても、口唇が閉じやすく、きれいな歯ならびで、よく咬めるようになり、また歯みがきもしやすくなると判断した場合は、永久歯を抜歯しての矯正歯科治療をお勧めします。

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